質問
先日、車を運転中に左折しようとしたところ、車道の左側から急に自転車が現れてビックリしました。自転車は、原則として車道の左側を通行すると知ってはいるのですが、接触事故が起きないかと不安です。自動車の運転者が自転車と接触事故を起こさないためには、どのようなことに注意をすればいいでしょうか?
回答
自転車のルールを知っておくことが、事故発生率を下げることにつながります。
自転車には免許制度がないため、ルールを知らない人も多い
自動車と自転車の事故は、テレビなどのメディアを通して目にすることがありますが、警察庁の統計データでは、自転車乗用中の死者数は年々減少傾向にあると発表されています。
実際の数値でみていきますと、自転車乗用中の死者数は平成27年度で572名だったのが、平成28年度では509名と減少しています。ちなみに、歩行中の死者数も同じ年度で見ると平成27年度の1,534名から平成28年度は1,361名と、こちらも減少傾向にあります。減少傾向とは言え、死亡事故以外の事故もあり、引き続き安全への意識は高めていく必要があるでしょう。(※1)
自転車と自動車の事故が起こりやすい場面とは?
自転車と自動車の事故はどのような場面で起こりやすいのでしょうか?交通事故総合分析センターの平成27年のデータによると、自転車と自動車の事故でもっとも多いのが「出会い頭」で55%、次に左折・右折が共に15%でした。 (※2)
自転車は道路交通法で軽車両と位置づけられているため、原則として車道の左側を通行するというルールがあります。そのため、交通状況が複雑になる交差点では、自転車と自動車の互いが安全を意識して事故を防止する必要があります。
自転車との接触事故を防止するためには?
自動車の運転者は、どのような点に注意をして、自転車との事故防止に努めればいいのでしょうか。
交差点での注意点
まず、自動車の運転者は、自転車が「現れるかもしれない」という意識をもって運転することが大切です。見通しの悪い交差点では、たとえ優先道路であったとしても、自転車や歩行者が急に現れることを想定して速度調整をします。また原則、自転車が交差点を右折するときは、二段階右折をする必要がありますが、このルールを守らずに、自動車と同じように右折をしようとする自転車もいます。このような自転車との接触事故を避けるため、直進であっても交差点ではミラーや目視で確認し、常に周囲の状況を把握しましょう。
左折時・右折時の注意点
左折時には、道路の左側を走行している自転車の巻き込みに注意をします。自転車はバイクなどと違い、狭い場所でも簡単に入ることができると意識しておくことも大切です。「きっと入れないだろう」と思い込まず、「急に現れるかもしれない」と意識しながら周囲を確認しましょう。自動車で右折をするときには、特に横断歩道に注意をしましょう。自転車は歩行者よりもかなり早いスピードで横断歩道に進入します。自動車の運転者が「もう歩行者はいないな」と思っても、突然自転車が現れる可能性があります。目視による確認をし、無理な右折をしないようにしましょう。
自転車の行動を予測しながら、事故の予防・対策を
交差点以外では、どのような点に注意するべきでしょうか。
路上駐車が多い道路
路上駐車が多い道路でも注意が必要です。自転車は道路の左側を走行するため、自動車が道路の左側に停止していると、自転車は停止している自動車を避けて道路の右側に飛び出さなければなりません。後続車を確認している自転車もいますが、そのまま飛び出してくる自転車も少なくありません。自動車の運転者は、そのような前方の状況を予測しながら、スピードを調整するなどして危険を回避するようにしましょう。また、駐車をする際にも注意が必要です。駐車禁止の場所に駐車をしないことはもちろんですが、自動車から降りる際にも後ろから自転車が来ていないか必ず目視で確認してからドアを開けるようにしましょう。前方に車が停止している場合は、自転車は自動車の運転席側を通行します。後ろを確認せずにドアを開けると、非常に危険です。体を後ろに向けてしっかりと目視による確認をするようにしましょう。
最後に、自転車側に自動車の存在を知ってもらうことも大切です。暗くなる前に早めにヘッドライトを点灯して、自転車に気づいてもらうことを忘れずに。自動車も自転車もお互いに注意をすることで、事故のない安全な運転を目指しましょう。
※1 引用:「平成28年における交通死亡事故について」警察庁交通局
https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H28_setsumeishiryo.pdf
(2018年3月7日最終確認)
※2 引用:「イタルダ インフォメーション №122」公益財団法人 交通事故総合分析センター
https://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info122.pdf
(2018年3月7日最終確認)