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交通事故の多い夕暮れどきの安全な運転方法とは?

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質問

運転初心者なので、夕暮れどきの運転にはちょっと気を使います。結構早めに点灯している気がして恥ずかしいときもあるのですが、夕暮れどきの安全運転のために知っておいた方がいいことがあれば教えてください。

回答

ヘッドライトの早期点灯は「安全の心のスイッチ」を入れること。周囲から自車を見やすくするのが大切です。

1日で最も死亡事故が多いのが、夕暮れどき

夕暮れどき(薄暮時)は、急に薄暗くなっていき、周囲が見えづらくなっていきます。運転に慣れた人であっても、夕暮れどきの運転は注意を払う必要があります。夕暮れどきは、日没に向けて、徐々に薄暗くなるイメージがありますが、実際にはそうではありません。思っている以上に速いスピードで暗くなっています。

さらに、夕暮れどきは交通量が増え、帰宅途中の歩行者も多い時間帯のため、事故が多い傾向があります。実際に警視庁のデータによると「日没時刻と重なる時間帯である17時台~19時台において最も多く発生」と出ており、ドライバーにとっては1日の中で、最も危険な時間帯と言えるでしょう。(※)

夕暮れどきの交通事故を減らすためには「ヘッドライト早期点灯」が効果的です。ヘッドライト点灯はドライバーの視界がクリアになるだけでなく、周囲の車や歩行者に、自車の存在に気づいてもらうという効果があります。「まだ見えるから大丈夫」という考えは捨てて、暗くなる前からライトを点灯するようにしましょう。

適切なライトの使い方とは?

車のライトには、目的にあわせていくつかの種類があります。

ヘッドライト(ロービーム・ハイビーム)

夕暮れどき、夜間時など、使用する機会が多いのが「ヘッドライト」です。 ヘッドライトは、照射距離によって2種類用意されていることが多く、ロービームは前方40m程先まで、ハイビームは前方100m程先まで照らすことができます。

街中や交通量が多い場所など、対向車や前走車がいる場合はロービームを使い、暗い道で対向車や先行車がいない場合は、ハイビームを使用するようにしましょう。

スモールライト

スモールライトとは、クリアランスランプや車幅灯とも言い、夜間の停車時に自車の存在や車幅を知らせるために使用します。夕暮れどきなど、スモールライトだけで運転しているドライバーを見かけますが、それだけでは不十分です。走行中は常にヘッドライトを点灯することを忘れないようにしましょう。

ライトを点灯するタイミングとは?

では、ヘッドライトの早期点灯と言っても、いったい何時からライトを点灯すればいいのでしょうか。道路交通法には、夜間(日没時から日出時までの時間)はヘッドライトを点灯させる必要があると記載されていますが、日没と言っても時期や地域によって異なるため、ひとつの目安として、死亡事故の多い時間の前である16時からライトを点灯してみてはいかがでしょうか。

ヘッドライトを点灯するとメーターパネル内にライト点灯のマークがつきます。ドライバーは、16時になったら、その表示を確認する癖をつけるようにしましょう。

オートライト機能が義務化に

さらに、2020年4月以降に販売される普通自動車の新型車からオートライト機能の搭載が義務化されることとなりました(継続生産車(すでに販売中のモデル)については2021年10月以降義務化となります)。オートライト機能とは、周囲の状況にあわせて自動でヘッドライトを点灯・消灯する機能のことです。すでに一部の車には搭載されていますので、自車にオートライト機能が搭載されている場合は、ぜひ活用しましょう。

オートライト機能の義務化からもわかるように、夕暮れどきのヘッドライト点灯は安全運転に不可欠です。ヘッドライトは「安全の心のスイッチ」ということを常に意識するようにしましょう。

※引用:「薄暮時間帯における交通事故防止」警察庁
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html
(2018年4月16日最終確認)

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コラムニスト 清水和夫 (モータージャーナリスト)

筆者の写真

安全で楽しいカーライフのお手伝いをさせていただきます。

国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして自動車の運動理論や安全性能を専門にしつつ、最近ではクルマ好きが考える安全と環境をライフテーマとして執筆しています。

【URL】 http://kaz-administration.blogspot.com/
【メディア】 「ディーゼルこそが、地球を救う」(ダイヤモンド社)、「車安全学のすすめ」(NHK出版) 、「モーターマガジン」「ENGINE」「GENROQ」などで連載中、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレターとしての出演も多数。

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