専門家によるドライブコラム

車内の子どもの安全 -チャイルドシートの選び方と固定方法-

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クルマに備わっているシートベルトやエアバッグは、大人の体格に合わせて設計されています。大人は鎖骨、胸骨、骨盤でシッカリと拘束をする事ができますが、骨格や筋肉が未発達な子どもは身体的に柔軟性が高いため肩や腰で体を拘束することが難しく大人用のシートベルトでは簡単にすり抜けてしまいます。従って、大人用のシートベルトやエアバックは子どもにとって充分な安全装置とは言えません。

チャイルドシートの選び方

まずチャイルドシートの選び方を説明しますが、チャイルドシートとクルマとの固定法には二種類あります。ユニバーサル方式と呼ばれるものが最も一般的でシートベルトで固定するタイプです。一方、ISO-FIX方式はクルマとチャイルドシートの双方に特別な工夫を凝らしたタイプです。このISO-FIX方式は取付けミスを無くすためにISO(国際標準化機構)がチャイルドシートの固定方式を国際標準化したものなので、取り付けられるチャイルドシートはISO-FIX対応の製品となります。

つぎに重要なのはお子様の体格に合わせてシートの種類を選ぶことです。原則としては年齢で区分していますが、実際はお子様の体の大きさや体重・身長で決めてください。

○乳児用 生後0才から約12ヶ月(体重10kg未満)
○幼児用 1~4才位まで(体重9~18kg以下)135cm以下
○学童用 4才~10才位まで(体重15~36kg位まで)身長140cm以下

チャイルドシートとクルマには相性があります。例えば車側のベルトのバックルやシートベルトの長さ、あるいは座面の形状によっては正しく固定できない場合がありますので、チャイルドシートメーカーで公表している「チャイルドシート適合表」で確認しましょう。購入前に実際に子どもを座らせ体格にあっているか確認しましょう(特に頭が背もたれからはみ出していないかチェック)。肩のハーネスの高さが、成長に合わせてチャイルドシートの裏面で調整できる「ハンガータイプ」がお勧めです。

重さに関しては軽量タイプを選ぶといいでしょう。衝突時にはチャイルドシート本体の重さが子どもの体重に加わりますのでチャイルドシートは軽量であることが望ましいです。日本のJIS規格では15kg未満、欧州では9kg未満と定められています。

チャイルドシート固定方法

チャイルドシートに備わるハーネスはお子様の体をしっかりと固定する大切なシートベルトです。お子様をチャイルドシートに乗せたまま、チャイルドシートの前側で紐を引くような要領で簡単に調整できるタイプがお勧めです。

実際にクルマに取り付けてみるとシートの座面が柔らかすぎたり、シートベルトのバックルが長くてしっかりと固定できない場合もありますので必ず自分の車に試装着してください。チャイルドシートの下側から脚が備わるサポートレッグタイプの場合は床からの高さ調整が正しくできるか確認します。お子様が使うので衛生面にも配慮した通気性が良く、クッション、カバー、ベルトハーネスの取り外しが容易で洗濯がしやすいものがお勧めです。最後にチャイルドシートの安全基準がクリアしているかどうか確認します。リサイクル品や贈り物などを使用している場合は再確認が必要です。国土交通省「装置型式指定 自C-000」、欧州のECE規則「ECE R44/03」、米国の米国安全基準「FMVSS NO.213」などのマークがあれば安心です。日本政府はチャイルドシートの安全情報を自動車安全アセスメントで公開しています。

身長140㎝未満にはジュニアシート

法律ではチャイルドシートの着用義務は6歳未満となっておりますが大人用のシートベルトは身長140cm以上にならないと安全には使用できません。まだ骨盤がシッカリと形成されていない子どもの場合は、大人のように骨盤に腰ベルトをかけることができず、衝突時にサブマリン現象を起こしやすくシートベルトの加害性は深刻です。

安全にシートベルトを使用できるようになるまでは、チャイルドシートを使用しましょう。学童用シートには、「お尻に敷くだけのもの」と、「背もたれ付き」がありますが、安全性を考えるとサイドサポートのある背もたれ付きをお勧めいたします。この頃になると、助手席に乗車させるケースも目立ちますが、安全のためには、後席への乗車をさせるよう保護者自身が心がけるようにしましょう。

大人がシートベルトを着用するのと同じ要領でシートベルトの機能がそのまま使用できますので比較的ミスユースの少ないシートです。シートベルトが子どもの首やお腹にかからないようにお子様と一緒に確認しましょう。

着座状況では体格不適合が37.3%と目立っています。規定の身長に満たない早期に使用するケースが多いようです。または頭が背もたれからはみでないよう背もたれの高さを調整します。肩ベルト通し方間違いは26.9%でシートベルトが首にかからないようショルダーガイドを正しく通っているかチェックします。腰ベルト通し方間違いは17.9%あります。腰ベルトがお腹にかからないようフックに正しくかけられているかチェックします。

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※上記の専門家コラムに関するご質問、お問合せは、原則受付けておりませんのであらかじめご了承ください。

コラムニスト 鹿口恵子

筆者の写真

車内でお子様の安全を守るアドバイスをいたします。

女性または母親としての視点から車社会を見つめ『妊婦のシートべルト着用』『車内における子供の安全』『乳幼児の救急救命』『ドライバーの救急救命』と、お母さんのお腹のなかにいるときから大人の安全までアドバイスをおこないます。

【資格】 財団法人 日本交通安全普及協会 チャイルドシート認定指導員 東京都消防庁認定 応急手当普及員ファーストエイド・インストラクター など
【メディア】 「ホリデーオート」「Fase」などコラム連載多数。

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